地域・保護者&学校の連携で「荒れ」克服

静岡県函南町スクールアドバイザーの活躍

NPO法人青少年問題防止ネットワーク 編著・松井大助 著
A5判 160ページ 定価(本体2,000円+税)
ISBN978-4-7619-2502-4
小・中学校管理職,教育委員会指導主事
新設以来10年、「優秀」な学校として評判だった中学校が、20年を迎えるまでの間に静岡県下でも有名な「荒れ」た学校となった。危機感をもった地元住民の有志が、学校と共に、学校の安定化のために奮闘した実践の記録。教育関係者のみならず青少年健全育成活動に携わる方々、地域の学校を応援する方々に参考となる一冊。

目次

はじめに
第1章 【発端】なぜ学校は荒れたのか
1 開校から20年のあいだの乱高下
勤務を希望する先生が0の学校
静岡県東部一の荒れた学校
かつては評判の学校だった
10年とちょっとでまるで別の学校に
2 複雑に絡み合った「荒れ」の要因
成功体験にならう危うさ
自主性と規律のアンバランス
希薄化した地域とのつながり
学校と地域・家庭の関係のほころび
体罰禁止の中の迷走
荒れている学校の先生は怠けているのか
第2章 【樹立】スクールアドバイザーはどんな体制ではじまったのか
1 地域のどんな人と連携したのか
地域の子どもを一緒に見守る大人を求めて
SAのメンバー構成は?
学校や警察と定期的に話し合う体制に
公務にするのか、有志の活動にするのか
地元の子全般を気にかけてくれる存在
「学校はこれで大丈夫か?」と心配になって
一言でいえば「おせっかい焼きの集団」
学校の実情を理解してくれる地域の人がいた
2 実ったこと、実らなかったこと
「俺とお前の約束」をするSA
泣き落としのプロ!? のSA
SAの前ではつっぱらない生徒
先生にも親にも明かせずにいた本音
困った子ではなく「困っている子」だった
暴走族もSAにはかなわなかった!?
SA創立だけでは高まらなかった認知度
知られていないから連携も進まない
SAとの連携を押しとどめたもう一つの要因
世間の先生に対する期待や要望も強すぎた?
第3章 【伸長】スクールアドバイザーと先生はいかにして関係を築いた
1 立て直す意志をもっての徹底指導
1、2年生を3年生から遠ざける!?
教育を受ける権利を守るために
悪さをする「1軍」に張り付いて
授業から置き去りにされた生徒の社会勉強
先生と生徒の接点を具体的に増やす
校長自らも毎日の声かけを
2 先生と「共に行動する」SAに
連携相手と井戸端会議をしたいんじゃない
問題の共有で終わらせず、何ができるかまで話し合う
生徒にも保護者にも先生にも知られたSAに
ふらっと学校に寄っては話し合う関係に
地域の大人に子どもが抱く畏れとは?
地域の大人だから特別扱いだってできる
地域の大人として生徒と「約束」を交わす
学校に不信感をもつ保護者の心を溶かしてくれた
行事の来賓、いやパトローラー!?
見張るだけではない、見守ってくれる存在
3 先生とSAと専門家それぞれの役割
識者あらわる
とっつきやすい子どもの専門家
専門家との出会いがSAにもたらしたもの
先生だからできる教育、SAだからできる教育
先生として問題行動を注意し、反省を促す
先生として社会のルールの大切さを教える
先生として逸脱した子どもの心に寄り添う
先生に求められる建前と本音の使い分け
SAだからやりやすい腹を割った指導
SAだから教えられる生活の風土
SAだから察知しやすいことがある
上司をうならせたおやっさんの教育
勉強だけでなく生きる道筋も教えてほしい
4 地域全体を巻き込んでの生徒指導
学校の恥部をさらけだす
地域の人と話し合う場を増やす
学校が変わった!
第4章 【暗転】信頼関係が崩れるのはどのようなときか
1 関係を冷やしうるいくつもの要因
再び地域でも評判の学校に
先生とSAの一体感は薄まった!?
SAをよく知る先生が異動していく
学校におけるSAの位置づけは?
連携の実績がまだ浅いがゆえの悩み
先生のプライドがSAへの遠慮を産んだ一面も
SAが訴えられてしまった!?
SA解散の一歩手前
SAのメンバーは代表に何を思うか
指導をめぐる先生とSAの不協和音
SAが生徒指導を牛耳っている?
2 苦い実体験から学んだこと
仲間内でやったほうが楽ではあるけれど
内向き体質を変えるための荒療治
温もりに飢えた子を見守る大人を増やす
問題がなくても顔を合わせていく関係に
学校を離れた先生との関係も維持していく
SAは行動の軸足をどこに置くのか
学校はSAにどう協力を仰げばいいか
学校の敷居はいまなお高い
ボタンのかけ違いはなぜ起きるのか
第5章 【拡大】どうして他校にもスクールアドバイザーを導入できたのか
1 学校に根づかせるために必要になるもの
はじめは不審人物と思っていたけれど
まずは教職員や保護者に紹介することから
辞職願を懐にしのばせていた管理職
この学校にはこの学校の色がある
嗅覚でとらえた不確定情報も共有
学年にこだわらず生徒を見守り続けて
生徒がSAに甘えられる機会も演出?
点と点をつなげる保護者対応
学校の協力者に一番失礼なことは?
2 SAとの出会いで変わった子どもたち
反発ばかりしていた生徒が泣いた日
SAだからできたタバコ問答
大人を信頼できるようになって拓けた未来
鳴り物入りの生徒が素直になった日
生徒の母親に伝えたSAの気概
さまざまな大人との出会いがもたらすもの
生徒に寄り添う先生がいてこそSAが活躍できる
卒業後も子どもたちを見守ってくれる存在があるように
第6章 【展望】何が課題として残っているのか
1 歳月を重ねる中で変化したこと
町内の小中学校すべてを見守るように
問題行動を起こす子から不登校の子までかかわる
成育歴や家族の状況まで踏まえたサポートを
目的と活動内容を明示したNPO法人に
相談支援や子育て支援、啓発活動まで
幼児から子どもを見守ってきた人もSAに
子どもたちの成長を追えることに喜びを感じて
相談にのるエキスパートもSAに
孤立しがちな保護者に寄り添う支援も
教育委員会や福祉課とのパイプもできる
SAを地域の教育行政に生かそうとする職員も
教育長が信を置くSAの三つの特質
講師を招いてSAが自発的に学ぶように
SAとの連携で教育委員会が意識するようになったこと
行政からもSAの地域への浸透を図る
2 いまなお課題であること、根づいてきたこと
20年経っても課題であり続けること
先生の中で受け継がれていること
学校の方針を打ち出すことを大事にして
SAの中で受け継がれていること
反発する子どもほど「自信がない」と気づいて
「大人はいつも気にしているよ」と感じてほしい
SAが一番怪しまれた!?
それぞれのSAが何年も続けてきたこと
一人の子どもを見守ってきた大人で囲む会も
3 これからの課題 これからの展望
学校になじめない生徒をSAに任せるのではない
SA個人に負荷がかかりすぎていないか
次の世代にどうやってバトンを渡していくか
SAの理念や姿勢をどうすれば引き継げるか
活動をふり返ることで見えてきたこと
これまでの経験をみんなの財産に
第7章 【総括】生徒指導の地域連携をどう進めるか
●特別寄稿 スクールアドバイザーを理解し支援してくださった保護者のみなさんへ 奥村 晋
おわりに

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